『キュレーターの殺人』 M・W・クレイヴン 感想 あらすじ

キュレーターの殺人 ワシントン・ポー (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:M W クレイヴン 早川書房 Amazon クリスマスの英国カンブリア州で切断された人間の指が次々と発見された。プレゼントのマグカップのなか、ミサが行われた教会、そして精肉店の店内で。…

『誰もがポオを読んでいた』 アメリア・レイノルズ・ロング あらすじ 感想

誰もがポオを読んでいた (論創海外ミステリ 186) 作者:アメリア レイノルズ ロング 論創社 Amazon はじめに エドガー・アラン・ポオの作品に見立てた連続殺人事件。盗まれたポオの手稿と殺人事件の謎を追う究極のビブリオミステリ!多数のペンネームで活躍し…

『許されようとは思いません』 芦沢央 あらすじ ちょい ネタバレ 感想

よそ者とは。女性は他の村から嫁いできたよそ者。実家の敷居は二度と跨げない。 でも嫁ぎ先の墓には入りたくない。 この難題を解決する方法があった。村十分とは。。。 表題の「許されようとは思いません」のほか全五編、2014年から2015年にかけて小説新潮に…

たった一日で人生が変わってしまう 『明日、世界がこのままだったら』 行成薫 感想 あらすじ ファンタジーか?

はじめに 死にそうな人が、ほんとうに死んでしまうまでの間に訪れることになるのが「狭間の世界」である。実際は思い出の風景が狭いエリアに存在して、人は存在しないという世界で、生きていた環境への未練を絶ち、魂だけになるところだと言う。今までいろん…

人工知能に小説は書けるか?ポロック生命体 瀬名秀明 新潮社

はじめに 「人工知能に小説は書けるか?」というフレーズで始まると、次のようなことを考えてしまう。2024年の今なら、ChatGPTを知った我々は、ある程度条件を提示してやれば、書けてしまうよ、と思うかもしれないが、この書籍が世に出た2020年にはChatGPTは…

「忘れられたその場所で、」 倉数茂 (ポプラ社)

花巻で発見された男の凍てつく死体、発見した女子高校生が迷い込んだ「忘れられたその場所」はハンセン病と深く関わっていて、犯行動機は怨恨の線が考えられた。シングルマザー刑事の川野絵美と新米刑事の麻戸浩明はぶつかり合いながらも真相を探り出してい…

香港警察東京分室 Hong Kong Police Force Tokyo Branch  月村良衛 2023.4.26 発行 第169回直木賞候補作

過去に、月村良衛さんのコルトシリーズを読んだときの、主人公やその仲間たちと敵対するグループらとの戦闘シーンの迫力がものすごかった印象が残っていて、今回はその現代版とでもいうべき傑作だ。

裏切りのギフト ~資本主義に鉄槌を下す~ 穂波了

アガサクリスティー賞受賞作家のこの小説の分類は、サスペンス・SF・ミステリーというのは、欲張りすぎだろうか? およそ三十年前、中国政府は各分野で活躍できる人材を創る計画を極秘で実行し、作り出されたのがギフテッド・デザイナーベビー。IQ180を超え…

人間関係の急変と不気味な出来事 火のないところに煙は 芦沢央

火のないところに煙は(新潮文庫) 作者:芦沢央 新潮社 Amazon まえがき あらすじ(感想など) 第一話 染み 第二話 お祓いを頼む女 妄言(「火のない所に煙は」を改題) 助けてって言ったのに 誰かの怪異 最終話 禁忌 あとがき まえがき この小説家の以前に…

スノードロップ ~いつの時代とも知れないが、そう遠くない未来の物語~ 島田雅彦

スノードロップ 作者:島田雅彦 新潮社 Amazon まるで、ちょっと前までの皇后さまをモデルとしたかのような物語が始まった。 民間人であった不二子さまが陛下に嫁がれてからの苦しい胸の内がリアルに語られる。 皇室と政治や諸外国との関係も具体的で勉強にな…

悪い女 ~暴走弁護士~ 麻野涼

冬の川崎市の埋め立て地、扇島の西側にある公園近くの立ち入り禁止の埠頭で、男が海に落ちたとの通報があり、警察のパトカー三台と救急車が急行した。 通報したのは、歌舞伎町にある暴力団組員の妻だった。

放送部部長の朝島君は、幕が降ろされた体育館のステージで演台にもたれたまま眠っている。胸にはナイフが刺さっていた。 体育館の殺人 青崎有吾

体育館の殺人事件が起こったあと、その場付近にいた者たちは、先生から生徒まで別室に待機させられ、県警の仙堂警部と部下の袴田刑事によって、ひとりずつ事情聴取されるが、なんとその関係者のなかに袴田刑事の妹がいるというドラマ仕立てのハプニングが用…

やってみなはれ みとくんなはれ 山口瞳、開高健

サントリーの創始者・鳥井信治郎は赤玉ポートワインで成功し、日本初のウィスキー製造に挑戦。戦後、息子の佐治敬三は父親の精神でビール市場に参入。宣伝部出身の作家が描く「幻のサントリー社史」は、ベンチャー精神に満ちた企業の歴史を記している。

学生時代の同級生に助けを求められる夢を見た。その彼女が演出し出演するはずだった・・・ ハムレット殺人事件 芦原すなお

ハムレットの公演をする予定だった出演者たちの多くが、公演の前日の稽古で、殺されるという不可解な事件が発生した。 私立探偵のふーちゃんこと山浦歩と同業の笹野里子が、警視庁の遠藤警部から情報を得ながら事件の真相を探る! 亡くなった女優の夏日薫は…

旅のない 上田岳弘 ~ コロナ禍下 2021年 講談社 ~

旅のない 作者:上田岳弘 講談社 Amazon 第1話 悪口 システムエンジニアの男がコロナ禍で、彼女とホテルで過ごしながら仕事をしたり、 第2話 つくつく法師 ある男が引っ越しを機に発見した「昔書いた小説」を読み返しつつ過去を振り返ったり、 第3話 ボー…

戦後間もない頃、銀座の美術店、名古屋の映画館のお宝が予告通り盗まれた。私立学園の建築予定地に現れる怪人二十面相を追い詰める明智小五郎。。。『二十面相 暁に死す』 辻真先

二十面相 暁に死す 作者:辻 真先 光文社 Amazon 時は敗戦直後の1946年、春。 米軍の占領中の街の様子がよく分かる。身分や立場の違いも。 その当時は、限られた人しか持てなかった運転免許を明智先生は持っている。 オートバイの運転も上手で安定しているら…

或るギリシア棺の謎 柄刀一 心臓移植手術を受けたカメラマンの南美希風が、アメリカの法医学者エリザベスと迷宮入りしそうな事件の謎を緻密なロジックで、自ら立てた仮説を証明しながら解き明かす、ロジックマニア第2弾!

或るギリシア棺の謎 国名シリーズ 作者:柄刀 一 光文社 Amazon おなじみとなった南美希風とアメリカの法医学者エリザベスのコンビ。今回は、エリザベスは、父の知人に面会するため来日したのだが、その面会相手の安堂朱海(あんどうあけみ)の訃報が届くとこ…

あの日に帰りたい 小路幸也 ~2019.9.25初版~

四季の流れに乗せて、駐在所とその周辺の様子が、一年を通して感じられるようになっています。 また、サブタイトルに「駐在日記」とありますが、物語の書きっぷりは、妻の花さんの日記の体裁で語られるところが、ちょくちょく入ります。 そして、本文中は、…

運転者 ~未来を変える過去からの使者~ 喜多川 泰

なぜ過去からの使者なのか!? 未来ではないのか? 報われることのない努力にあなたは感動する! なぜなら、その努力はいつか報われるから 報われない努力なんてない! この本の備忘録として、あらすじと感想を残します。

或るアメリカ銃の謎 柄刀一 心臓移植手術を受けたカメラマンの南美希風が、アメリカの法医学者エリザベスと在名古屋米国領事館私邸で起こった事件を緻密なロジックで解き明かす!

心臓移植手術を受けたカメラマンの南美希風が、アメリカの法医学者エリザベスと在名古屋米国領事館私邸で起こった事件を緻密なロジックで解き明かす! ロジックマニアの本領発揮第3弾!

ドローンスクランブル 未須本有生

マルチコプタードローンについて、防衛省の試験研究が始まった。メーカー側に提示された目標スペックはシビアなものだったが、フリーランスのデザイナー倉崎が、画期的なアイデアを思いつく。防衛省VS大企業VSベンチャー。ドローンをめぐる熾烈な駆け引き。…

酒呑みに与ふる書 キノブックス編集部 ~2019.1.29初版~

酒にまつわるエッセイ、詩歌、マンガのアンソロジー決定版! 大伴旅人、芭蕉から夏目漱石、古井由吉、村上春樹、そしてボードレールまで、豪華作家陣による陶酔と覚醒の45篇を収録。 とのことなので、酒好きなわたしが、ちょっと中身を拝見!

カタストロフ・マニア 島田雅彦

この近未来小説は、発刊された2017年の時点で、2019年からのコロナ禍を予見したかのような内容です。 それに加えて、物語の設定から、いろんなことが想起されます。 まず、カタストロフ(大災害)の原因が、太陽の「コロナ質量放出」という点。言葉だけの一…

春のこわいもの 川上未映子 ~2022.2.25初版~

川上未映子さんの「春のこわいもの」を紹介します。六編からなる短編小説です。コロナ禍の日常での精神が危うくなりつつある女性、男性が描かれています。

裁縫師 小池昌代 ~Tailor~ Masayo Koike

少女が大人の階段を上る「裁縫師」、町の女神を一晩自由にできる「女神」、若い娘の恋心を打ち砕く「空港」、事故で左腕が翼になる「左腕」、家族がそれぞれ勝手な「野ばら」の五編からなる小池昌代さんの秀逸な短編集です。

くるまの娘 宇佐見りん ~2022.5.20初版~

くるまの娘 作者:宇佐見りん 河出書房新社 Amazon 秋野かなこは、家庭環境(母の病気と父のDV、たぶん)のせいでメンタルがやられているが、どうにか学校には来ている。授業中に眠ってしまう。1年半前から、とつぜん動けなくなるか、何かを反復し続けるかだ…

神の悪手 芦沢央

神の悪手 作者:芦沢央 新潮社 Amazon 将棋の対局や詰将棋をモチーフとした短編ミステリーが五話。どれも立場や年齢が違う登場人物が、真剣に将棋に立ち向かう姿に感心しつつも、内容はミステリー仕立てであるため、ものすごいスピードで読まされてしまう。ど…

汚れた手をそこで拭かない 芦沢央(You Ashizawa)

汚れた手をそこで拭かない (文春e-book) 作者:芦沢 央 文藝春秋 Amazon 第一話:妻が余命半年と言われたが、1年余りが経過した男が病床の妻に「俺は昔、人を死なせたことがある」と言いだす「ただ、運が悪かっただけ」 第二話:小学校の教師が、うっかり学…

大衆の狂気 ダグラス・マレー ~行き過ぎた多様性尊重~

大衆の狂気 ジェンダー・人種・アイデンティティ 作者:ダグラス・マレー 徳間書店 Amazon 「いまでは、女性やゲイ、人種的背景の異なる人々、トランスジェンダーである人々の苦境を取り上げれば、同情をしめすことになるばかりか、ある種の道徳性を示すこと…

老婦人マリアンヌ鈴木の部屋 荻野アンナ

なんとなくタイトルが面白そうだと思い、読んでみることにした。 割と高年齢の女性、具体的には、90歳、80歳、60歳くらいの女性たちが主役の物語である。 モエ60歳くらい、姪のクリコは大学院生 ラジオ体操で、「スマイル光」という家政婦やホームヘ…