教養と人生訓と時代(昭和の初め)ならではの背景を踏まえた謎解きが面白い。
時代小説と推理小説を同時に楽しめる。久々のお気に入り本です。
第141回 直木賞受賞作 短編三部作となっています。
表題の作品は、第三話目に収録されています。
「不在の父」
「獅子と地下鉄」
「鷺と雪」
「不在の父」の主な登場人物とあらすじ
・花村英子 花村家のお嬢様
・花村雅吉 英子の兄
・桐原道子 桐原伯爵家のお嬢様
・別宮みつ子 花村家の運転手、通称ベッキーさん
銀座の書店を兄と訪れた花村英子は、兄から不景気でインテリも困窮しルンペンになると聞く。英子の兄は滝沢子爵に関する話を持ち出し、彼が暗黒街でルンペンになったのを見たという。道子と英子と運転手のベッキーさんがその話の真相を確かめるべく捜査に乗り出す。ベッキーさんが解決を支援する。
「獅子と地下鉄」の主な登場人物とあらすじ
・花村英子 花村家のお嬢様
・弓原太郎 英子の叔父
・弓原松子 英子の叔母
・別宮みつ子 花村家の運転手、通称ベッキーさん
叔母の弓原松子から、自分の知り合いの小学生が夜の九時に出歩いて補導された件について意見を求められた英子は、運転手のベッキーさんとその理由を調べる。世間知らずのお嬢様の危ない行動と、それを見守るお抱え運転手のベッキーさんの頼りになるところなども見どころである。
「鷺と雪」の主な登場人物とあらすじ
・花村英子 花村家のお嬢様
・小松千枝子 小松子爵家の御令嬢
・桐原道子 桐原伯爵家の御令嬢
・別宮みつ子 花村家の運転手、通称ベッキーさん
英子は叔父叔母と銀座の能面展に出かけた。そこで学校で同じ組の美しい小松千枝子さん家族とあいさつを交わす。英子が能面を見ていると、大きな音がした。振り返ると小松千枝子さんが倒れていた。
帰りのタクシーで英子は思った。千枝子さんは、なぜ倒れたか? なにかが不自然だった。彼女が倒れたときに鑑賞していたと思われる「今若」という、貴公子の容貌をした若い男の面が関係あるのだろうか。そのとき、千枝子から言われた「今日のことは、どうか、ご内聞に。」という言葉も引っかかってきた
時は流れ、英子はベッキーさんに東京駅まで送ってもらった。伊勢への修学旅行である。道中、写真には写りたがらない千枝子に「東京に帰ったら、話を聞いてほしい」と言われた。後日、英子の自宅で、千枝子が展示会で倒れた理由が明かされる。写真を撮られたくない理由も。
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