『誰もがポオを読んでいた』 アメリア・レイノルズ・ロング あらすじ 感想

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はじめに

エドガー・アラン・ポオの作品に見立てた連続殺人事件。
盗まれたポオの手稿と殺人事件の謎を追う究極のビブリオミステリ!
多数のペンネームで活躍したアメリカンB級ミステリの女王アメリア・レイノルズ・ロングの日本初紹介本。(論創社ホームページから)

何冊目というのは、章みたいなものです。ポオの作品に見立てた章立てになっているということで、事件は全て繋がっていて、短編が5つあるということではありません。

あらすじ

プロローグ

ジニー・パットは、キャサリンに打ち明けた。最近、「ひどいお願い」をしたら、二回それが現実になって怖いという。だから次の願いごとはしないようにする、というもの。
その日、別の大学の教授が、このまえ大学で見つかったポオの手稿(「ユーラルーム」という詩)を窓際で透かしてみて、何かに気づいたようだったという。
そのことから、ヘレンはある企みを思いついたらしい。でも教えてくれないので、ジニー・パットが叫んでしまった「ヘレンなんて絞殺されればいいのに!」 
えっ!これって「ひどいお願い」じゃない!?

一冊目 アモンティラードの酒樽

ジニー・パットの願いが叶ったのか、図書館で殺人事件が発生、アーチー・シュルツが死体として発見される。

ブーン巡査部長が尋問を行い、トリローニ特別捜査官が事件解決に取り組む。
さらに、ポオの手稿の盗難も浮上する。推理が進む中、ジェイミーが犯人として逮捕される。

二冊目 マリー・ロジェの謎

ジェイミーが逮捕されたが、事件の真相は解明されていなかった。
キャサリンは、図書館を出た後、ヘレンの不審な行動に気付く。

ヘレンが真夜中に外出するのを目撃したキャサリンは、友人のジニーから事件の真相を聞く。
ジニーは、ヘレンの陰謀を阻止するために手稿を盗み、ジェイミーと共謀したのだ。
ジェイミーはカバンを取り違え、自分のカバンから手稿が見つかりキャサリンは驚く。
キャサリンはトリローニ特別捜査官にこのこと連絡した。

その後、ヘレンが殺されたことが発覚し、キャサリンとクライドは犯人の推理を始める。
クライドの推理はトリローニ特別捜査官に称賛されるが、容疑者の絞り込み方法に問題があると指摘される。

ブーン巡査部長はルアク教授を逮捕しようとするが、トリローニは証拠と動機が不十分だと反対する。

三冊目 モルグ街の殺人

キャサリンは事件の流れを整理し、電話の重要性に気付く。
アーチー・シュルツはジャド・フィリップスに電話し、その後謎の人物に電話して殺された可能性があると推測した。
同様に、ヘレン・ブラックも同じ謎の人物に電話し、殺されたと推測した。
キャサリンはポオ収集家のジャド・フィリップスを犯人と見なし、トリローニ特別捜査官に報告する。

ジャド・フィリップスの家に向かったキャサリンとトリローニ特別捜査官は、クライド・ウッドリングと出会い、カッツィーの姿がないことに気付く。
執事の証言によれば、書斎での電話中にカッツィーはいなくなったという。
その後、カッツィーの死体が暖炉の近くで発見される。

衝撃を受けたキャサリンはウィスキーを飲み、ブーン巡査部長は聞き取りを続ける。
クライドはジャド・フィリップスとの電話のやり取りを説明し、執事は電話の主がルアク教授であることを明かす。

丁度、ジャド・フィリップスが帰宅し、トリローニ特別捜査官は彼が犯人であると主張するが、クライドは異議を唱える。最終的に、ブーン巡査部長もトリローニ特別捜査官の推理を否定した。

四冊目 メッツェンガーシュタイン

トリローニ特別捜査官はキャサリンとルアク教授に会い、電話の内容を確認し、偽の手稿を売り込もうとする可能性に備えるように伝えた。
ルアク教授は別れ際に、ポオが好んで用いる方法について警告した。

キャサリンはクライド・ウッドリングと共に警察での尋問に出頭し、その後クライドがジャド・フィリップスからの連絡を受けて約束の場所へ向かった。
ところが、トリローニ特別捜査官に連絡があり、ジャド・フィリップスが見つからないという。

その後、プリンストン大学のバスケットボールの勝利を祝う学生たちの行動が描かれ、そのバカ騒ぎの火遊びのなかでジャド・フィリップスの燃死体が発見された。

トリローニ特別捜査官はルアク教授を犯人と考え、ブーン巡査部長はクライド・ウッドリングを犯人と見なした。

検事はウッドリングを逮捕するようブーンに指示したが、トリローニ特別捜査官はその推理に疑問を呈した。
最終的に、検事はウッドリングの逮捕を許可し、ブーンはその指示に従う。

五冊目 アッシャー家の崩壊

学生たちがアーチー・シュルツの殺された現場を見ようとして図書館に押しかけた。
キャサリンとクライド・ウッドリングは大学のグリークス食堂で話をする。
そこへブーン巡査部長が現れ、クライドを尋問し始めるが、トリローニ特別捜査官が割り込んで、逮捕は免れる。

その後、トリローニ特別捜査官は真犯人を見つけるために図書館での会合を提案。
その夜、関係者が集まり、連続殺人犯の特定が行われることになった。

トリローニ特別捜査官が、照明が壊れてランプのあかりだけとなった空間で、集まった関係者に話をしていると、そのランプが消え、死んだはずのカッツィーの顔が現れた。

焦った犯人が悲鳴を上げて、真犯人が明らかになった。

あとがき

久ぶりに図書館の海外コーナーに行った。今までの少ない経験からすると、翻訳されているからなのか、あるいは書きっぷりのせいなのか、だいたい読みづらいという印象があった。

そのため、なるべく字は大きく、分厚くなく、出来れば比較的新しい綺麗な本を選んだのだった。
ところが、読み終わって、訳者のあとがきを読むと、著者のアメリア・レイノルズ・ロングさんが書いたこの本は、1944年の発表だという。

すごい人を引き当てしまったと思った。各編のタイトルが、あの著名なエドガー・アラン・ポオの代表作のタイトルになっていて、各章の冒頭の一節は編のタイトルの作品の中の一節であるという。なんて凝った構成だ。

そして、幻ミステリ研究家の絵夢恵さんの解説によれば、「はじめに」で書いたような、ポオの短編小説に見立てた連続殺人事件を解決する特別捜査官とその友人のキャサリンが活躍する『貸本系アメリカンB級ミステリー』とのこと。B級って何? ミステリーに文学性など求めなくていいよ。娯楽性ならA級だ。

また貸本系というのも良く分からないが、1930年代からアメリカでは貸本スタイルが流行したらしい。その代表がフェニックス社でトップスターがアメリア・レイノルズ・ロングだったという。人気が出過ぎて4つのペンネームで出版社毎に書き分けたという。
そして、例えるなら「アメリカの横溝正史」だという。私の好みにもぴったり!?

1944年の発表ながら、日本語に翻訳されたのが2016年12月ということです。
70年以上も経過して、もたらされた本書に感銘を受けたので、海外ミステリーにも目を向けようと思いました。

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